忘れられた恋の物語

それから1週間後の土曜日。

私は家で部屋着から洋服に着替えながらニヤリと笑っていた。

その理由は今日行こうとしている場所にあった。

今日私は彼を近くの遊園地に誘おうと決めていた。

前回『次は柚茉の行きたいところに行こう』と言われた瞬間に思い付いた場所だった。

心臓が悪い私は小さな頃から"遊園地に行っても乗り物に乗ることが出来ないから"という理由で、両親は私を遊園地に連れていくことはなかった。

それが私への気遣いなのだとわかっている。

でも、遊園地に行ってみたいと思うこともあった。アトラクションには乗れなくても、雰囲気だけでも味わってみたい。

だから私の病気を知らない彼となら遊園地に行けるかもしれないと思った。何にも乗れない私を彼は不思議に思うかもしれないけれど、どうしても行きたかった。