「でも1か月後には引っ越すみたいだし…。会う約束した時すごい嬉しそうだったし…。」


そう自分に言い聞かせて、もう一度だけ彼に会うことにした。

そうすればなぜこんなにも彼が気になってしまうのか分かるような気もした。

それから土曜日まで私はなぜか落ち着かず、そわそわした気持ちで過ごした。


そして土曜日。

待ち合わせ場所のカフェに着いた私は、入り口でふーっと息を吐いた。なぜこんなに緊張するのだろう。極度の人見知りだからだろうか。

中に入ると奥の席に座っている彼の後ろ姿が見えた。

まだ2回しか会っていないのに、彼のトレードマークの金髪のせいか後ろ姿でもすぐにわかった。

その時、不意に彼がこちらを振り向いた。