今日も私は屋上の柵を乗り越える。

だからといって死ぬつもりは全くない。

柵を越えたこの場所は私が安らげる場所であり、この行動は私の日常だ。

どこを見ても真っ白で代わり映えの無いこの病院で、唯一遮るものも無く、どこまでも続く空を見上げることが出来る場所がこの屋上だ。


私の名前は逢田柚茉(あいだゆま)。

生まれつき心臓が悪く、入退院を繰り返している。


この体のせいで制限されることが多い。だからなのか危ないことだとは分かっているけれど、柵の外に出ると自由になれたような気持ちになる。