『繰り返しとなりますが、この制度は死者の方が心残りなく成仏出来るよう1ヶ月間やり直す機会を設ける制度となっております。』

「はい。」

『ご利用中は連絡手段となる機器をお渡し致します。24時間365日いつでも分からないことがあった場合、その機器で私たちにご連絡ください。ご利用者の方一人一人に専属の相談役が1人付きますので、その者が対応致します。対面でのご相談も可能です。』

「わあ…すごいですね。」

『ありがとうございます。1ヶ月の期間中は生前にご利用者をご存知だった生者の方は、あなたのお顔と声が別人に見えるようになっております。そのため、あなただと気付かれることはありません。』

「そうなんですね…。」

『それからご利用者はご自分の生死について、それからこの制度について生者の方にお話しすることは禁止となっています。こちらを破られた場合には罰則がございます。』

「誰にも話してはいけないんですね。わかりました。」

『そして最重要事項として1ヶ月の期間が終了した後はご利用者と関わった生者の方々全員から、ご利用者についての記憶をすべて消去させて頂きます。』

「え…。消えるんですか。」

『はい。この制度には"生者の人生に影響を残さないことが第一"という鉄則がございます。そのため記憶はすべて消去するということが徹底されています。』

「ああ…それもそうですね。わかりました。」

『これで説明は以上となります。お考えになって内容に同意頂けましたら、こちらにサインをお願いします。』

「…はい。」