忘れられた恋の物語

…また驚かされる。

こんな言葉を平気な顔をして言うこの人を信じていいのだろうか。


「どうしてこんなに私に…?」

「それは…。」


彼の答えを聞こうとした時、看護師さんに名前を呼ばれてしまった。


「行ってきてください。その後話しましょう。」

「…わかりました。」


行こうとする私に彼は恐る恐る手を振った。

…不思議な人だ。何を考えているのか全くわからない。



診察を終えて、待合室に戻るとそこには誰もいなかった。


「…どこ行ったの。」


"話そう"って言ったのはあっちなのに。少し悔しいような気分になった。