忘れられた恋の物語

「…そんなことない。」


数秒見つめ合った後、斗亜は私にキスをした。

そっと触れるだけの優しいキス。

顔が離れると2人同時に下を向いた。すごくドキドキしたし、恥ずかしさもあった。

ファーストキスだ。

これで私は一生斗亜のことを忘れることはないだろう。初めてのキスの相手だから。今この瞬間はいつになっても思い出す記憶になるだろう。

その時、私の頬に水の雫が当たった。


「…雨?斗亜、雨が降ってきたみたい。帰ろうか。」

「そうだね。」


ぎこちない雰囲気のまま私たちは手を繋いでベンチから立ち上がった。すると雨が急に激しくなった。


「わ!すごい降ってきた!」


斗亜は自分が着ていた上着を脱いで私にかぶせると周りを見渡した。