忘れられた恋の物語

「それに本当に愛してたから。」


飛田さんの瞳が驚いたように揺れた後、少し微笑んだ彼の瞳からも涙が流れた。


「あんなに一緒にいたのに私、1回も言ったことなかったよね。…本当に愛してる。愛してる優輝。」


震える声で何度も繰り返された愛の告白が、微笑みながら流れる涙が、どれだけ2人が愛し合っていたかを物語っていた。

ゆっくりとその場を離れた俺は、決心をした。

伝えられなかった気持ちがあるとお互いに心残りとなるのだ。だから自分も柚茉に会える間に思い切り自分の気持ちを伝えたいと思った。

あの2人のおかげだ。飛田さんと澪さんのように全力で誰かを愛する美しさを学んだ。

俺もそうしたかった。たとえ柚茉の記憶には残らないとしても。