忘れられた恋の物語

「一番じゃなくてもいいくらいお前のことが好きってことだな。」

「…だから安心して。私はもう1人じゃない。これからは心の中にいるあんたと、そして私を心から好きだって言ってくれるあの人と生きていく。」

「…そうしろ。そしていつか俺を忘れろ。」


たとえ澪さんに聞こえなくても、心を込めて返事をする飛田さんに胸が痛んだ。それは飛田さんの表情に喜びと寂しさが入り交じっていたから。


「ねえ。安心しただろうけど、ちょっと寂しいでしょ。あんたはヤチモチ焼きだったから。」

「そんなことない。俺は…。」

「でもそんなこと思わないで。あんたのこと一生忘れない。私、人生のほとんどを優輝と過ごしたんだから。」


その時お墓に笑いかけた澪さんは一筋の涙を流した。