「俺のことがすごく怪しく見えるかもしれないけど…。もう1回だけ。お願いします。」

「でも…。」

「それなら!俺が怪しいことは何も出来ないように病院で会いましょう!」


答える隙もないほどの気迫に少し押されたけれど、私は首を横に振った。


「…もう行きますね。」

「…わかりました。すみませんでした。」


腕を離した彼の表情は悲しそうだった。申し訳なくなってしまうくらいに。



家に帰っても彼のその表情が思い浮かんだ。

私は何でこんなにも彼のことが気になるのだろうか。

気になったのは彼の悲しそうな表情だろうか、それとも彼自体だろうか。

もう考えるのはやめよう。もう二度と会うことのない人なのだから。



…そう思っていたけれど。

私はもう一度会うことになったのだった。彼に。