その瞬間、心が惹かれた。

話したこともないし、名前も知らない。

身に覚えはないのにどこか懐かしい。

その女子の方を振り向くと、彼女もこちらを見ていた。

何かを思い出したような彼女は泣きそうな顔で幸せそうに笑う。

不意に流れ込んだ記憶。

それは不思議な世界と残酷な事実と愛しい彼女の記憶。

そして、自分の命と代えてでも叶えたかった最後の願い。

きっと俺も彼女と同じような顔をしているのだろう。