理想を描く世界で君と

「何してんの」

いつの間にか戻ってきていたらしい拓馬の手が目の前に差し出された。

思わず拓馬の顔を見上げる。

「ほら行くよ」

拓馬は私の手を取って進む。

強引に人の波をかき分けて進む歩き方とは逆に温かく私の手を包む拓馬に胸が高鳴る。

私は空いたほうの手で赤く染まった頬を必死に抑えた。



「はい」

渡されたのは遊園地のチケット。

「あ、お金」

財布を出そうとした私をとめる。