「日向ー」 下駄箱の向こうに手を振りながらこっちに向かってくる拓馬がいる。 「ごめん、待たせたわ。行こ」 一緒に歩き出したはずの私たちは微妙な距離を保っている。 拓馬が歩くすぐ後ろについていく私。 うちの学校の他の生徒からの視線を感じてなんとなく俯きがちに歩いていた。 「どした?」 声をかけられて見上げると拓馬がこっちを見ていた。 「ごめんごめん、なんでもない」 「じゃ行くよっ」