アーサーはそんな二人の姿を眺めつつ、しばらく何事かを思案していた。
 そして長い沈黙の後――こう言った。

「よし。アメリア嬢に会いに行こう」――と。

 当然、エドワードとブライアンは困惑――否、驚愕する。

「はぁ!? まさか理由(わけ)を聞きに行くんじゃないだろうな!?」
「そんなことしたら俺たちが話したってバレるだろ!? 嫌だよ!」
「そうは言ってない。ただ会うだけさ。そもそもウィリアムの婚約者だぞ? 会わないわけにはいくまいさ」

 アーサーの口角が上がる。――が、双子は心の底から嫌そうだ。

「ええー。じゃあアーサーだけで行けよ」
「俺たちは行かないよ。なんか色々気まずいし。今さら初対面ヅラするのも……」
「いいや。お前たちも行くんだ。もちろんウィリアムも一緒にな。あとは……そうだな。カーラ嬢にもご同行願おうか」
「はっ!? ウィリアムはともかくカーラはやめろ! 余計ややこしくなる!」
「あいつ嘘つけない性格だぞ! 知ってるだろ!」

 二人は吠えるが、アーサーは意見を変えない。

「男四人にレディが一人では、アメリア嬢とて気分が悪いだろう? それにカーラ嬢もアメリア嬢に会いたいと、そう考えていると思うが」
「それ、会いたいの意味絶対違うけどな」
「はあー。アーサーは言い出したらきかないからな」
「よくわかってるじゃないか」

 エドワードとブライアンは大きくため息をつく。
 そんな二人とは対照的に、アーサーは満足げに微笑んだ。