彼の胸に飛び込むわたしを、彼の腕が強く抱きしめる。

「わたし、本当に幸せだわ、エリオット」
「僕も、ユリアが喜んでくれて嬉しいよ」

 エリオットの表情が、優しくなる。

「ずっと、わたしと一緒にいてくれる?」
「もちろんだよ。さっきそう約束したじゃないか」

 彼の声が、柔らかくなる。

「他の女の子に目移りなんてしちゃダメよ?」
「それを言うなら君だって、僕以外の男と口を利いたら許さない」
「え、話すだけで駄目なの?」
「そりゃあそうさ。僕は嫉妬深い男なんだ」
「ふふっ。あなたの嫉妬してる姿、見てみたい気もするわ」
「そんなことしたら、相手の男を殺してしまうかもしれないよ」
「まぁ、物騒ね! でもあなたが嫌なら、やめておくことにする」
「そうしてくれ」

 わたしたちは冗談を言って笑い合う。

 日が暮れて雪雲の向こうに月が昇る時間になっても、わたしたちはそうやって、二人きりの時間を過ごした。

 *

「寒くない?」

 微かな月明かりだけが部屋に降り注ぐ中、背中から聞こえるエリオットの甘い声。

「平気よ」

 背中に感じる、わたしより少し高い彼の体温。それがとても、心地いい。

「愛しているよ、ユリア。決して君を離しはしない」
「わたしもよ、エリオット」

 そうしてわたしたちは二人、太陽が昇るそのときまで、狭いベッドでお互いの熱を確かめ合いながら、深い深い眠りについた。