朝型ちゃんに一目惚れ

 驚いた表情だった陽菜ちゃんは、やっと俺に笑って見せる。

「…大丈夫です!ありがとうございます、一樹先輩!!」

 どうやら俺の言い訳の意図を理解してくれたらしい。

 俺はこっそりポケットの自分のハンカチに、陽菜ちゃんの濡れたハンカチを包んで仕舞う。

「何してんのよもうっ」

「ダメダメだろ、カッコ悪〜!」

「カズキ、今さら眠気が出てきたんじゃん?」

 みんなが呆れている。
 自分の嘘の恥ずかしさもあって、俺は苦笑した。でもなんとかごまかせたらしい。

「…本当にみんなごめんね~」

 俺がダメ押しでそう謝ると、陽菜ちゃんは気分を切り替えるように明るく言った。

「じゃ、次のショーは見られそうですから行きましょう!」


 その後は、まだ行っていない場所を含めて、ウミガメのショーやクラゲのショー、イルカのショーなんかをみんなで見て回った。

 そして水族館のレストランで食事を済ませる。

 やたらテンションを上げる吉田を抑えつつ、俺は陽菜ちゃんを時々チラチラと見ながらみんなと過ごした。

 陽菜ちゃんとは一つの秘密を作った、俺にとっては特別な仲になったように思えた。
 このハンカチもみんなにわからないように陽菜ちゃんに洗って返して、このことは自分の中に仕舞っておける。

 たったこれだけで、俺のさっきまで沈んでいた気持ちは明るくなった。

 陽菜ちゃんはもとより、俺もみんなも夢中で楽しんで過ごせたと思う。