朝型ちゃんに一目惚れ

「夏の海もいいけどさ、そうじゃなくても良いね。なんか、趣きある」

 ぼんやりしながら言う俺に、済ました渡瀬の説明が入る。

「カズキの語彙力はまるでなってないな。それにこの場所、夏の海なんて言ったら、水の波より人の波だってさ。テレビで見たことあるだろ?この外した時期で正解だ」

「そっかあ」

 それでも少し残念な気はするけど。


「よし、探索に入るぞ!」

 みんなが集まるなりやはり突然そう言い出す吉田。

「何のだよ……」

 苦笑いで返す俺に吉田は言い切る。

「食料調達だ!」

 …吉田の探検気分はまだ抜けていなかったらしい。

「最初から、予定通り飯買いにコンビニ探すって言いなよ……」

「よっしーの言葉が、一番言いたいことが伝わってこなかったな。…いつものことか」

 俺のあとに定番通り渡瀬が呆れてそう言ったところで、仁科とばかり話していた陽菜ちゃんが、久しぶりに口を挟んだ。

「そういえばお兄ちゃん?私、海に行くならここも行きたいって言った場所、あったよね?忘れた?」

 ほんの少し拗ねたような、でもきっぱりと兄である吉田に問いかける。

「え、陽菜が??え〜と……」

 吉田は突然の陽菜ちゃんの問いに真面目な顔で考え始め、少ししてやっと思い出したらしい。

「あ、水族館か!」

 吉田の出した答えに、呆れ顔で黙ってうなづく陽菜ちゃん。

「水族館??」

 …そういえば、海の近くには水族館があることが多いことを思い出す。

 俺たちの住んでいる場所は海から離れているし、電車に乗って一時間以上行かないと水族館も無い。

「せっかくだし、行こうよ」

「食事をしてからならちょうどいいかもしれないわね」

 満場一致で、朝食を食べたら水族館に向かうことが決定した。