これは古い、外国の実写映画だろうか。
　赤色のマントをつけ青色の“専用”らしいスーツを身にまとった、外国人の体格の良い“男性”がたくさんの人を危険から救いながら空を飛んでいる。

「これはヤバい……なんで俺は、今までこれを観なかったんだ！！もう、観るしかないじゃないかあああ……！」

　吉田はイヤホンをし携帯を見つめたまま、泣きながら呟く。

「……“外国”の、ヒーローだったからじゃね？」

　渡瀬はようやく、いつもの勢いが無いまま呆然と、まだ聞こえていないであろう吉田にそうツッコむ。

　よっしーはずっと、“日本の特撮ヒーロー”専門だったからなあ……

　俺が妙にそう納得した、その次の瞬間。

♪♪〜～～

　弾みでイヤホンの接続を切って再生してしまったのか、吉田の携帯からは突然大音量でその動画のヒーローのテーマ曲らしい音楽が流れ始める。
　当本人である吉田は驚きのあまり固まって何もできず。

　そして昼休みその瞬間に居合わせたクラス中のみんなが突然流れ出した音楽に騒然とする中、そのテーマ曲が流れ終わったのだった。

「「……。」」


　その後吉田はクラスメイトたちから総ツッコミを受け、すぐに近くのクラスからもそのことが噂され始める。
　そしてそれはしばらくの間、学校中で語り継がれたのだった……