俺は思っていた疑問を部長に投げかける。
 すると部長はハマ先輩をギラギラした目で見やりながら答えた。

「知ってるも何も、今時無いこんな物を出してくる人間なんて、この男しかいないでしょう?……本当に、信じられない!!」

「……半年ぶりの対決だというのに、ずいぶんとご挨拶だな。今日こそ、渡してもらう!!」

 ハマ先輩は図書室中に響き渡る声で、悪役さながらそう宣言。

「どっちが取るか、今日こそ決めようじゃない!!」

 テガ部長も負けじと、普段は穏やかなはずの美声をかなり周囲に響かせる。

 二次部の四人がバチバチと好戦的な視線をこちらに送ってくるけれど、俺を含む美術部部員たちの方は何のことなのか全く分からず顔を見合わせている。

 何のための勝負なのかを聞く勇気も、誰も持たないままで。

 ……とりあえず放課後で人が少なくて良かったけど。


 ハマ先輩とテガ部長はテーブルを挟み、椅子にそれぞれ座って対峙。
 俺たち二つの部員たちは狭いながらその周りを囲んだ。

「それで、何をして決めるの?」

 テガ部長がそう切り出すとハマ先輩はふんぞり返り、自信有りげに笑う。

「そちらの言う勝負で決めようじゃないか」

 ハマ先輩のその言葉にカチンときたらしい。
 テガ部長は、

「っ、あんた、私をバカにしてるでしょ!!もう、よぉく分かったから!!」

と言うと勢い良く立ち上がり、ハマ先輩を睨みつけながらビッと指差す。

「カードで勝負っ!!ハマのん、見てなさい!!」