幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。



 いやいや、なんで高校生がそんなこと知ってるんだよ。

 いやでも確かに見事な作品だ。
 紫と淡いピンクのグラデーションに塗られ、桜の花が描かれていてとてもかわいい。


「朝焼けの桜をイメージした無二の作品ですわ」
「これは素晴らしい。ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
「いやなんで?なんで急に那桜にプレゼント!?私は!?!?」


 ずるくない!?と言わんばかりに八重を見ると、八重はきょとんとしていた。


「お誕生日だからですが?」
「誰の?」
「那桜さんの」


 え…………。


「那桜誕生日だったの!?!?」

「あ、忘れていたんですのね」


 そういえば那桜って4月生まれだったな。
 私より誕生日も早くてムカついてたことあった。

 つまり、今日から18歳ってこと?


「誕生日も負けた!!」

「誕生日に勝ち負けってありましたかしら」
「お嬢ルールではあるようですね」

「ちょっと早く生まれたからって調子に乗らないことね!!」
「乗ってませんよ。それよりお嬢からは何かないんですか?」


 何か??


「幼馴染の記念すべき誕生日だというのに、すっぽかすつもりですか?」

「いやいやなんで敵の誕生日祝わなきゃいけないのよ!!」

「ほう?桜花組は所詮その程度……器の小ささが窺い知れますね」

「いいじゃない!!特別に祝ってやろうじゃないの!!何が欲しいか言ってみなさいよ!」

「その言葉に二言はないですか?」

「ない!!」