「和仁さんは、ずっと後悔してるんだと思う。
自分が駆け落ちしようなんて言わなければ、美桜さんは死なずに済んだんじゃないかって。
美桜さんと恋に落ちなければ、こんなことにはならなかったはずなのにって……」

「……」

「だから鏡花ちゃん、和仁さんの気持ちわかってあげて欲しいの。
和仁さんはただ意地悪で言ってるわけじゃないのよ」

「わかってる」

「鏡花ちゃん」

「でも、だったら尚更私はこの恋を諦めたくない」

「鏡花ちゃん!?」


 パパの気持ちはわかる。
 私を思って心配してくれる気持ちもわかる。

 パパがどんな思いで生きてきたかなんて、きっと私に測れるものではない。
 でも、これだけはわかる。


「パパは間違ってなんかない。だって好きな人と一緒にいることが間違いなんて、そんなのおかしいもん!」

「鏡花ちゃん……」

「染井と桜花がいがみ合うことが間違いなんだよ!昨日の敵は今日の友っていうじゃない。
ちゃんと歩み寄って話し合えば、お互い理解し合えるはずなんだよ!」


 その時思った。那桜が染井を変えていきたいって言ったのは、こういうことなのかもしれない。

 私も変えたい……!!

 そして証明したい。私たちの恋は間違ってなんかいないこと。


「教えてくれてありがとう、ママ。もう一回パパとちゃんと話してくる!」


 私は背筋を伸ばして立ち上がる。
 もう迷わず、真っ直ぐ前を見て進んで行こうと決意した。