もう恋はしないって思ってた。

   ***


「ほんとだ、すごくおもしろそう。本当に借りちゃっていいの、この本?」


 それから二日後の金曜日、約束通りわたしは白都くんちにはじめてお邪魔した。

 白都くんの家は、真っ白な壁の、まさにお屋敷っていう表現がぴったりくるような大豪邸だった。


「もちろん。僕はもう二回読んだし。そんなに気に入ってくれたなら、おもいきって声をかけてみてよかった」


 白都くんがふわりと笑う。 


「それに、この図書部屋も朱里ちゃんに一度見せたかったんだよね。きっと気に入ると思って。なんなら僕んちにある本、どれでも好きなのを貸してあげるよ」


 お屋敷の一階には、白都くん専用の図書部屋まであって、天井まである本棚がいくつも並んでいるの。

 それに、入り口のすぐ横には、ふかふかの一人掛けソファまで置いてあって。

 白都くんはいつもここに座って読書をしているのかな? なんて思わず想像しちゃう。

 窓がないから外の光がまったく入ってこないし、本好きなヴァンパイアにとって天国みたいに居心地のいい場所だよ。

 ミステリー、冒険、スポーツ、恋愛……きっちりジャンル分けして並べてあるのが、なんだか白都くんらしい。


「どれもおもしろそうだから、迷っちゃうなー」


 なんて言いながら本棚を眺めていたら、気付いたら白都くんがわたしのすぐうしろまで近づいてきていた。


「本当に朱里はかわいいね。ずっとこの家に飾っておきたいくらいだよ」


 なんだかぞくっとするような冷たい声に、体中に緊張が走る。