「いつの話なの?」

「結婚する前だよ、偶然彼の部屋でそのペンダントを見つけたの」

「でも、どうしてお母さんがペンダントの開け方を知ってたの? 見た目だけではロケットかどうかも分からないのに」


「……そのペンダントは私も持ってたの、お父さんにあげるつもりで買って、あげる前にお父さんが同じペンダントを持っている事を知ってしまった、中が気になってお父さんがいない間に悪いと思いながらも見てしまったの、それが優衣さんの写真だった、結局私が買ったペンダントは渡せずじまい、それなのにどうして入れ替わってるの」

そういうことか、だからペンダントがお父さんから私に渡ったことも、開け方も知ってたんだ、
「お母さんが買ったペンダントはどうしたの?」

「どうしたんだっけ、確か……」

おもむろに立って、鏡台の引出しの一番奥から取り出した小さなジュエリーBOX、
「結婚指輪と一緒に……」

ジュエリーBOXをテーブルの上に置いて上蓋をそっと開ける、

「……えっ、ひとつしかない……どうして」
「2つとも此処に入れてたの?」

お母さんが箱から取り出したペンダントの裏蓋を開けて中の写真を確認する、
「お父さんの写真だ、じゃあやっぱり結衣が持ってるのは、此処に入っていたもう一つって事?」

「お父さんだよ、お父さんしかいないもん、お母さんの知らないうちに入れ替えたんだよ」

「でも、優衣さんに貰ったペンダントはどうしたんだろう、お父さんの遺品の中には無かった、まさか処分してくれたんだろうか」

「………」