そんなことより、
ついさっきまで女の子に囲まれてチヤホヤされていた彼の姿が脳裏に浮かんだ、
「進藤くん、取り巻きの女の子はどうしたの?」
「取り巻き? あークラスの女の子のこと、もう一巡したから、彼女たちも満足したんじゃないかなー」
まるで他人事のように女の子の気持ちを想像して口にした、
義理は果たしたみたいな、そんな感じですか?
「モテるのも、大変だね、気に入った女の子はいなかったの?」
「楽しかったよ、皆んな個性があって見た目だけじゃわからないって教えてもらった、それに、、」
「それに?」
「気に入った女の子なら、ここにいるよ」
はい? なんだって、、
キョロキョロして自分を人差し指で指さしていた、それに頷く進藤くん、
何を言ってるの、、口説き文句にしては上手すぎ、
無視無視、同級生の話題にはなりたくないよ。
「いつも、そうやって女の子を口説いてるの?」
「まさか、女の子を口説いたことなんて一度もないよ」
それもそうだ、よりどりみどりだからね、そんな必要もないか、
「高橋さん、ついてきて」
そう言ったかと思うと、
彼は自転車に跨り、三十度ばかりもありそうな急な土手の斜面を躊躇いもなく駆け降りた、河川敷でドリフトみたいに後輪を滑らせ180度方向を変えて堤防の上に残された私を見上げる、
私はその場でポカンって口を開けたまま間抜けな顔で立ち尽くしていた、
度胸はピカイチだね、でもその行動は……普通じゃないかも、



