「どういう事? さっぱり分からない、お母さんは丈瑠くんを知ってたの? 優衣さんも」

「結衣は覚えてないと思う、小学校の一年ぐらいだったから」

「ひょっとして自動車事故の事を言ってるの?」

「覚えてるの?」

事故の後、責任を感じていたお母さんは、毎月治療費名目でお金を送っていた、それを翔琉の両親は使わずに貯めておいてくれたらしい、丈瑠くんが亡くなったのを機にこの手紙と通帳が送られてきたのだという。

「そうだったの、私のせいだね、皆んなに迷惑をかけた」

「誰も結衣が悪いって思ってないよ、向こうのご両親も私も」

「ならどうして、お金を送っていたの? 悪いと思ってないならそんな事しないよね」

「先方には何度も断られたけど、私はそうせずにはいられなかった、結衣を責めなかったお礼なんだよ、
それが嬉しかったの、今思えば、進藤さんも初めから使わずに貯めて返すつもりで受け取ってくれてたんだね」

「そうか、それもあって、うちはお金に苦労してたんだね、、」

「ごめんね、結衣がお金のことで辛い思いをしてるのは、何となく分かっていた」

元はと言えば私が悪いんだから怒る筋合いもない、お母さんは私が傷つかないようにずっと隠していたんだ、