もう直ぐ陽が落ちる、暗闇が静かに舞い降りてくる、
やっぱり、、怖い、悲しみが恐怖より勝ることはなかった、
堤防に上がり早足で家路を急いだ、
、とその時、背後に人の気配を感じてドキリとする、
誰かつけてくる?
神経を集中し耳を澄まして足音を確かめる、
間違いない、振り返る事なくスピードを速めた、
もう私を守ってくれる人はいない、そう思った途端恐怖が一層増した、
更に歩くスピードを上げようとした時、背中に信じられない声を聞いた、
「結衣……」
ま、まさか、、
振り返ると真っ黒な影が私を抱きしめた、
「探したよ、こんなところに一人でいちゃダメだ」
「翔琉? もうビックリしたー 怖かったんだから!
、、、ど、どうして、ここにいるの?」
「アメリカ行きは辞めた」
「……さっきの電話は演技だったの?」
「確かめたかったんだ、結衣の気持ちを」
やっぱり、初めから疑っていたわけだ、、
でも、嬉しい、、何処で電話してたんですか、、
「本当に好きな奴ができたのか知りたかった、でも電話の声を聞いて確信したんだ、嘘だって」
「アメリカ行きはどうするの、、」
「結衣を置いていけるわけないだろ」
「何を言ってるの! 夢が叶うんだよ、私のせいで諦めたら恨むから!」
飛行機の時間はとっくに過ぎている。今此処にいる時点で翔琉の意思は決していた。
「嘘なんだろ!」
「な、なにが?」
「好きな奴ができたって、」
「…………」
「結衣の事ならなんでも知ってる」
「嘘じゃないよ、職場の先輩に告白されたんだから」
「それは本当かも知れないけど、でも断っただろ」
「どうしてそう思うの?」
「結衣には俺しかいないから、俺には結衣しかいない、俺の夢は海の向こうじゃない此処にあるんだよ」
私の髪をくしゃくしゃして、そのまま胸に抱き寄せられた。



