「なあ結衣、もう一度やり直さないか?」
「……もう終わった恋だよ」
「俺の中では終わっていない、俺の何がいけなかったんだ」
翔琉はなにも悪くない、私のわがまま、
「翔琉には感謝してるよ、こんな私と貴重な青春時代を一緒に過ごしてくれたんだから」
「じゃあなんで別れたの、理由を教えてくれなかっただろ」
それは……今でも分からない、
説明もできない、私自身納得できる答えを持っていないし。
「やっぱり、なんとなく、かな、、」
翔琉を助手席に押し込んで、エンジンをかけようとして指が止まった。
「そういえば一目惚れって言ってたよね、翔琉は私の何処を見て気に入ったの?」
「目と鼻と耳と口の絶妙なバランス」
はい? 酔っ払いに聞いた私が馬鹿だったか……。
「結衣は自分を蔑みすぎだよ、もっと自信を持っていい」
確か前にも誰かに言われた気がする『大丈夫、自信をもって』って、誰だった?
エンジンをかけ国道に出ると、勢いよく追い越していく大型トラックに圧倒されてしまう、
小さなラパンちゃんはトラックの風圧で弾き飛ばされそうで、ついついハンドルを握った指に力が入った。
国道から一本中に入れば今度は漆黒の闇が静まり返った住宅街に広がっていた、
目にするものは街灯の小さな灯り、それと暗闇に煌々と光る浮世離れした自販機に目を奪われた、
それがマッチ売りの少女みたいに一本買って下さいと言っているように見えてしまう。
うーん、しょうがない可哀想だから一本買ってやるか、



