「結衣、夢でもいいから帰って来て……お前しか居ないんだ、他の女ではダメなんだ、結衣……」

翔琉……

ってその手には乗りません!

「この酔っ払いがー」
ゲンコツで頭を小突いてやる、
ビクってして、もう一度顔を上げた翔琉は、まん丸クリクリ眼で私を見つめた。

「本当に、結衣?」

「そうです、迎えに来てあげたよ、ほら起きて帰ろ」

「………あんなメールが来たから諦めていた」

そりゃそうだろ、私も来るつもりなかったんだけどね、思い出しちゃったから、

翔琉の腕を取って自分の肩に回した。
「ほら、掴まって!」

肩を貸して、のつもりが身長差があり過ぎて、
はたから見れば私が普通に肩を抱かれているように見えると思う。

「結衣、ありがとう」

うーぅ、酒臭い……

「喋るなー」
「あ?」

あっじゃなくてさー、「酒臭いから喋らないでって言ったの!」


そのまま店を出て、車に向かう途中、何となく違和感を覚えた、

ん? 意外と足取りはしっかりしている、まさか演技か? 
流石にそれはないか、それでも見上げた翔琉の口元は心なしか緩んでいた。