それから一週間後、彼の告白を信じられないまま、
二度と訪れないかもしれないチャンスを掴まずにはいられない自分がちょっぴり恥ずかしかったけれど、

「進藤くん、付き合ってもいいよ」
偉そうに、上から目線で返事をしていた。

「ほんとに? ありがとう結衣」
進藤くんはそれが当然の返事であるかのように驚きもしなかった。

「じゃあ、もう俺の彼女なんだから進藤くんじゃなくて翔琉って呼んでいいからね」
「う、、うん」

そうは言われても初めのうちは抵抗があった、男の子を名前で呼ぶなんて小学生の頃の幼馴染以来だし、それに加えて男の子と付き合うのも初めてだから、扱い方もわからず戸惑うばかりだ。


「翔琉は運動神経いいのに、どうして部活に入らないの?」

「小さい時に事故に遭って大怪我をしたんだ、右腕に後遺症があるから長い時間の運動はできない」

「右腕って、しんど、、いや翔琉は左利きじゃなかったっけ」
あっ、でも字を書く時は右手だったような気もする。

「もともと右利きなんだ、事故の後やむなく左利きに矯正したから」

矯正した左であれだけスポーツができれば凄い、怪我さえなければどのスポーツでも一流になれたぐらい運動神経は良かった。



自転車置き場に寄って愛車のチェーンロックを外し自転車を引きながら彼は私の横に並んだ、

そうだ、これも気になってたんだ、
「通学に自転車は必要なの?」


特に決まりはないけど、歩いてもたかだか15分ばかりの距離しかない、私の家と1キロと離れていない彼の家まででも時間的には大差はないはずなのに、

「たまに寄り道するからね、これがないと困る時がある」

「寄り道って、どこに?」

「……うーん、そのうち話すよ」
何か言いづらい理由でもあるのだろうか、それ以上詳しくは聞かなかった。