そして河川敷で夕日を背に受けて、大きく手を振りながら私を呼んだ、

「高橋さーん、降りてきてよー!」

はぁ、なんでそうなるんですか、、
嬉しいのかも悲しいのかもわからない今の心境をどうしたらいいの、


滑らないよう足元に気をつけて、カニ歩きで急斜面を慎重に降りた先には、
自転車を放り出して土手に大の字で寝転ぶ彼の姿があった、

その能天気な笑顔を目の当たりにして余計に感情が込み上げてしまう、

「ねぇ進藤くん、どうして私に絡むの!」

「わからなかった? 高橋さんが好きだから」

確かにそう聞こえたねー、でもさ、、
馬鹿も休み休みに言えよだって、

そんな事があるはずないと少し腹が立った私は、彼の横に体操座りで落ち着いて反撃に転じた、

「あのさー、視力悪いのかなー、ちゃんと私を見て言ってるの、平凡でなんの取り柄もないんだよ」

上半身を起こして同じように座り直した彼は、私に顔を向けて長年連れ添った幼馴染みたいに気安く告白した。

「高橋さんが好きなんだ、クラスの誰よりも、俺じゃ駄目かな」


だからー、信じられないって、出会ってまだ一月ばかりだし、あなたはクラスの人気者ですけど、

「ひょっとしてアレかな、誰かと賭けでもしてるの? 私を口説いたら勝ちだって」


「結衣! 俺は真剣だよ」

い、いきなり呼び捨てですか、、

「進藤くん、その言葉が本当なら嬉しいけど、返事は少し待って、あまりに突然過ぎて頭が追いつかないから」