ブブ••••



その時、また私のスマホが鳴った。



急いで握手していた手を離しスマホをポケットから取り出す。



「サラ••••もう夕方だけど今どこ?」




「もう帰るから、心配かけてごめん」




通話を切り、彼の方を向く。



「ごめんなさい。親が心配してるから帰ります」



挨拶をして彼に背を向けた時、



「ここにいるからまた来てね」



「・・・・・」




背中越しにそう言われたけど、私は何も言わずそのまま家の方に向かって歩く。



もう2度と彼に会う事は無いだろう••••



そう思いながら••••



だけど、彼が後ろで私が見えなくなるまでずっと見ていたなんてこの時の私は知らなかったんだ。