「嘘でしょ?!記憶喪失になっちゃったの?覚えてない?あなたのお母さんよ!」

 そこで昨日のことを思い出し、と同時に激しい頭痛が私を襲う。

 心配そうにのぞき込む女性。恐らく30歳以上で、"前のお母さん"よりも10歳ほど若い。

「ごめん、変な夢見ちゃって混乱してた。おはよう、お母さん。今日は、私の魔力鑑定があるんだよね?早く準備しなきゃ!」

「良かった、覚えてた…早く支度して、食卓に来るのよ!あなた丸1日ご飯食べてないんだから。」

「そんなに寝てたの?!通りでお腹が空くわけだ。早く支度してみんなのとこ行くね!」

「そう、じゃあ先に行ってるわよ。あなたも早く来なさいね!」

 パタン、と音がして扉が閉まる。それを確かめ、すばやく枕を口にあてる。
 
「まさかの異世界転生だとぉ?!!」