私は、かわいい。それは、生まれたときから、いや、生まれる前から(・・・・・・・)決まってたこと。なのに、どうして…!

 なんで私はヒロイン(・・・・)じゃないのよ!?王子も盗られたじゃない!!

 しかも、王子と仲良くしているのは悪役令嬢(・・・・)で、ヒロインとも仲がいいなんて、どう考えてもおかしいじゃない!!

 あぁ、むかつく。何で私は一番になれないの?

 …いや、私は一番だ。一番かわいいし、一番愛される存在のはずなのに。

  ならなぜ?どうして?

 …そうよ、アイツだ。アイツが私の立場を奪ったんだ。本当なら私がヒロインになれたはずなのに、無理やり奪ったんだ…!

 ならばどうする?どうすれば元に戻れる?どうすれば一番になれる?

 …そうだ。殺してしまえばいいのよ、あの時(・・・)みたいに!

 前世(・・)で私から王子を奪ったヤツを殺した(・・・)みたいに、今回も殺せばいい!

 うふふ、そうよ、殺してしまえばいい、前にそうしたみたいに!どうせバレやしないわ、今では魔法も使えるのよ!

 今までは神を恨んだりもしたけど、これは、この世界への転生(・・)はやっぱり贈り物だったのだわ!


 そうした高笑いが、静かな屋敷の一室中に響いたことを、知る者は誰も、いなかった…