そういったことがあり人間不信に陥った彼は
表面上は優しさを取り繕いながらも、内心では次々と自分に寄ってくる令嬢やその他を、『権力欲しさに寄ってくる浅ましいハエ』と、とても忌避していた。

 そんなある日、中庭で悪役令嬢の取り巻きによるいじめを受けていたヒロインと出会うことで、彼の人生を変え、またプレイヤーにとっては、彼の攻略を始めるきっかけのストーリーになる。

『「助けていただき、本当にありがとうございます。」
「ううん、僕は教師として当たり前のことをしただけぇ〜。それより、怪我はない?」
「はい!それにしても、先生…。」
「ん?どうしたの?」
「先生の眼は、とってもきれいですね!」』

 ヒロインの指摘に、僅かに身体を強張らせた彼。しかし。

『「私、ラピスラズリがいっちばん好きな宝石なんです!だから、先生の眼を見たときから、ずうっと思ってて!」』

『思ってたことを言えてすっきりした〜!』とこぼすヒロインに、これは偽りではなく本当にそう思っていっている、少なくともこの子にとっては、この瞳はきれいなものなのだ、といった喜びが溢れ出す彼。

 やがて、その気持ちは、プレイヤーが攻略を進めていくうちに恋心に変わっていき−

 というのが、"みなてぃー"彼のストーリー、らしい。

 らしい、というのは、私が前世"みなティー"をプレイしていなかったからである。そのストーリーの知識は"脱モノ"のストーリーや親友に語られて覚えたものである。