「あら、もうこんな時間じゃない!みんな、もう準備はできた?早く馬車に乗るわよ!」

「「「「「はーい!」」」」」

 屋敷の外に出て、みんなで馬車に乗り込んだ。みんなというのは、私、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟、ミリー。そして、馬車の御者さんである。最初見たときは、馬車の大きさに心のなかで驚いてしまった。

「愛ちゃんの記憶を取り戻してから馬車に乗ったのは初めてでしょ?ゆっくり景色を楽しんでね!」とお母さん。

「はーい!」

 しばらくすると、私達が治めている領の街が見えてきた。領民たちが、手を振りながらお見送りをしてくれる。私達家族と領民たちの仲は良好で、時々作物の収穫のお手伝いをしたり、私達の家でパーティーをしたりしている。