【任務遂行のためなら。】
俺はそれなりに優秀だ。他人の生き様には興味がない。
そのおかげか任務は完遂しやすかった。
俺の家には三段階で殺した人数によってランク付けされる。その中で、一番高いランクの者が次の指令者となる仕組みだ。
俺のランクはシルバー。すなわち、2番目。殺した人数でいくと20〜40人。
シルバーの上位とゴールドは、単独任務が当たりやすい。

「皐月。任務の詳細を送る。」
10:35に団地にて事件発生の模様。
ターゲットは高層ビルに逃走中。至急始末せよ。
俺は急いで車に乗り、場所に向かった。
降りるとそこには沢山の落ちた弾丸と血まみれ死体が転がっていた。まるで血の海のようだった。
俺は、「汚ねぇな。」
と、ぼやきながら死体と死体の間を通り抜け、進んだ。

俺はビルに入り、ターゲットの行方を探していた。が、なかなか見つからないまま
上の階へ進んで行った。
そして屋上に着いた時、女性の声がした。
振り返るとそこには鉄骨に首を吊るされた女性を人質に取ったターゲットがいた。
ターゲットは俺を見るなり、発砲し始めた。
俺はすかさず、ナイフを構え走り出す。
「いいの?暗殺組織で有名な如月家の人間が逃げ腰でいいの?
あ、女優先?紳士だねー。その行動無駄にならないといいね。

あれ、女がいない……。」

ターゲットは俺に向かってナイフを投げてきた。
俺は咄嗟に女を庇いながら鉄鋼で交わした。
鉄鋼にナイフが刺さる。
「何で女がそっちにいる。」
「あー、こいつ?お前のナイフ、避けるの簡単だったからさーついでに逃した。
俺、正直助けるつもりなかったんだけど人助けしといたらいい事あるかなって」
こいつ、俺の知り合いと似てんだよな。なんか隠してそうだし。
「随分、舐めてくれたな。
俺はまだ本気出してないだけなんだよ。」
あいつは荒々しく挑発してきた。
「おい、女。しっかり捕まっとけよ。

お前のショーに付き合ってられねぇ。俺らはここら辺で退散させてもらうよ。
せいぜい生きれるものなら生きてみな。また相手してやるよ。」
俺はビルの屋上から落ちて行くのと同時に爆弾で建物を燃やしていった。
案の定ビルは崩壊、炎上。組織には建物を壊すなと言われていたが仕方ない。
事件は組織によって捏造されるし警察にも今そこまで怖くはない。それに
もうそろそろ、指令者より電話がくるはず。俺はそう思ってた。
「おい、皐月何ビル破壊してくれてんだよ。」
「しょうがないじゃないですかー。人質いたんですもん。」
「相変わらず反省してないな、捏造するのそう簡単じゃないんだぞ。
お前、そんなんだからゴールドランクいけないんだろ。」
「いやでも俺、行く気ないっすよ。老人のたまり場。
俺は家の決まりで人殺し続けてるだけだって。」
「老人のたまり場って……。要するに逃げきれないだけだろ」
彼は嘲笑うかのようにいった。
「俺は忙しいんで、失礼します。」
不機嫌になりながら電話を切った。その後、俺は女に話しかけることにした。