確かめてみようと圭介の勤め先に行った。
幸い圭介の荷物を取りに行くことになっていたので、すんなり会社に入れた。
会社にはパーティーに来てくれた同僚もいて、皆が乃愛を気遣ってくれた。その中には容疑者の一人である、海野武久もいた。
海野はマスクをしている。
乃愛は思い切って海野に話しかけてみた。
「海野さん、この間はありがとうございました」
「いや、その……まさかあんなことになるとは思ってなくて」
「はい、本当に……」
「……犯人は、筧だと思いますよ」
声をひそめ、低く呟いたその言葉に乃愛は息を呑む。
「筧はずっと圭介が好きで、告白してフラれたと聞いたことがあります」
「フラれた腹いせに……ということですか?」
「いや、貴方にこんなこと言うべきではないかもしれませんが、筧は最近彼氏ができたと嬉しそうに話していたそうです。鈴蘭が好きな彼氏だと周囲に漏らしていたとか」
乃愛の動悸が速くなる。
「社内では筧がしつこく食い下がって二股相手になったんじゃないかと囁かれていたそうですよ」
「そう、ですか……」
「警察にも聞かれたので同じことを話しました。早く真実が暴かれるといいですね」



