誰が圭介に毒を盛ったのか?誰が圭介の命を奪ったのか?


「絶対に許さない。私がこの手で殺してやる」


 乃愛の心に復讐の炎が宿る。乃愛に向かって微笑みかける圭介の写真に向かって、復讐を誓う。

 乃愛が一番許せないのは、圭介の大好きな鈴蘭を凶器に使ったことだ。
 圭介は亡くなった母親が大好きだという鈴蘭の花を、とても大切にしていた。


「乃愛、俺と結婚してください」


 プロポーズしてくれた時も、鈴蘭のブーケとともに光る指輪を差し出してくれた。
 跪いてブーケと指輪を差し出し、恥ずかしそうにしていたけど目は真剣だった。

 涙が出る程嬉しかったし、幸せだった。これから彼と幸せな家庭を築いていくのだと思った。
 それなのに、突然圭介との未来は奪われてしまう。


 乃愛はあの夜のことを改めて整理してみることにした。
 サプライズで用意した手紙を読み、鈴蘭のブーケとともにプレゼントした。圭介は涙ぐみながら「ありがとう」と満面の笑みで受け取ってくれた。
 それからずっと圭介はブーケを持っていた。

 乃愛は圭介が昔言っていたことを思い出す。


「鈴蘭の花や根には強い毒があるから、花粉がついたりした時は気をつけてね。まあ口に含んだりしない限り、大丈夫だとは思うけど」