警察は既に穴山が怪しいと踏んで捜査を進めていた。穴山の荷物からはコンバラトキシンを入れていたと思われるカプセルが発見される。

 家宅捜査を行ったところ、部屋一面に乃愛の隠し撮り写真が貼られていた。
 穴山は店に客として訪れた乃愛に一目惚れし、密かに乃愛のことをストーキングしていた。穴山はあくまで純愛だと言い張っていたそうだが、以前にも好意を寄せていた女性にストーカー行為をしており、警察から厳重注意を言い渡されていた。

 圭介の殺害について、乃愛と結婚する前に消してやろうと思ったなどと供述している。


「許せなかったんだよ。僕の方が彼女を愛しているのに。だからあいつの好きな花の毒で殺してやったんだ。せめてもの慈悲だよ」


 取調室で悪びれる様子もなく、そう語っていたと真田から聞かされた。
 乃愛は唇を噛み締めることしかできなかった。


「……わざわざ鈴蘭を凶器に選ぶなんて。圭介が大切にしていた亡きお母さんとの思い出の花だったのに」


 憎くて悔しくて打ち震える。そんな乃愛に、真田はスマホの画面を見せた。


「由利さんのスマホの中に入っていた動画です。由利さんの帰りが遅かった理由は、この動画を撮っていたためだったそうですよ」


 スマホを受け取り、乃愛は震える指先で再生をタップした。