穴山は驚いたように目を見開く。


「え……どういうこと?僕がカクテルを間違えたってこと?」

「間違えたんじゃない、わざと圭介のカクテルを取って圭介に自分のカクテルを飲ませるように仕向けたんです――毒の入ったカクテルを」


 乃愛は鞄の中に手を入れ、鋭い眼光で穴山を見た。


「貴方が圭介を殺した犯人ですね?」

「待ってくれ、どうして僕が?僕に圭介くんを殺す動機なんてないよ」

「私もそれはわかりません。でも貴方しかいない。
一次会のレストランでは各テーブルに鈴蘭の花が置かれていました。鈴蘭が好きな圭介を思ってのことですよね。
貴方は鈴蘭が有毒なことも知っていた。貴方なら鈴蘭の毒を手に入れられましたよね!?」


 動機は未だにわからない。だが、状況的に犯人は穴山だと示している。


「どうしてですか!?何故殺したんですか!?」


 あのレストランは圭介との出会いの場であり、圭介と乃愛にとって大切な場所だった。いつも優しい笑顔で迎えてくれる穴山のことも、とても慕っていた。それなのに――……







「僕から君を奪ったからだよ」