「私、ずっと圭介さんが好きで、憧れていて……告白したけど彼女がいるとフラれました。
だから私、空想でもいいから圭介さんと付き合ってるって思いたくて……」

「空想?どういうこと?」


 言いづらそうにしながら、瑞穂はインステに書いていることのほとんどは嘘であると告白した。
 例えば「今日のランチはホテルのランチコース」と投稿された写真は、実際は普通のレストランで撮られたものを加工したらしい。


「SNSではキラキラした自分を見せたかった。フォロワーも増えるし、最初は見栄を張りたかっただけなんです。でも、この鈴蘭の投稿をしてみたら、圭介さんと付き合えてるような気がして」


 気づいた時には空想上の高揚感に取り憑かれていた。彼とネズミーランドに行った、今日は彼の誕生日だった。そんな嘘の投稿にいいねをくれたり、「幸せそうだね」とコメントをくれる人がいる。

 それを見て、また幸せを錯覚する。本当に圭介と付き合っているかのような酔いに浸れるのだという。


「いずれバレる嘘だとは思っていました……でも、つい口でも彼氏ができたと言ってしまって、引けなくなってしまったんです」

「だから本当に手に入れようと、圭介に毒を盛ったの?」

「違います!!私じゃないっ!!」