瑞穂の涙が嘘臭く感じてしまう。全て演技なのではないかと疑ってしまう。
胸の奥から暴れ出しそうになるものを無理矢理抑え込み、「きっと圭介も喜んでいると思います」と乾いた笑いを浮かべた。
荷物を持って会社を後にした。
「貴方が殺したのではないか」と喉元まで出かけたが、まだ証拠がない。どうしようかと考えながら歩いている道中、急に鋭い視線を感じた。
「……っ!」
ハッとして振り返ったが、誰もいない。この誰かに見られているような嫌な感じは、以前にもあった。
誰かに尾けられていると気味が悪く思っていた時、あのレストランで圭介と出会った。
恐怖に蝕まれて誰でもいいから話を聞いて欲しく、たまたまカウンター席が隣になった圭介に話した。初対面ながら圭介は真剣に話を聞いてくれ、しばらく一緒に帰ると言ってくれた。
初対面の人に申し訳ないと断ろうとしたが、圭介は大真面目に答えた。
「何かあってからでは遅いです。明日から毎日このレストランで待ち合わせましょう」
冗談かと思ったが、圭介は本当に毎日レストランを訪れた。二人で食事をし、一緒に帰っていれば自然と二人の間に恋が芽生えていた。
やがて嫌な視線は消えていた。圭介と付き合い始めてからは、全く感じなくなっていた。
なのに、今また嫌な視線が感じる。



