△Triangle


...あれ?

昼休みも終わりに近づいてきた頃、そろそろ次の授業の準備でもしようか、なんて考えていた時、ドアの近くに見たことのある人物が立っているのに気がついた。

「佑斗くん?」

「あ、色菜ちゃん」

一瞬人違いだったらどうしよう、と思ったけどやっぱり間違ってはいなかったみたいで、
胸を撫で下ろした。

「どうしたの?」

「姉ちゃんいる?」

「あー...楓ちゃん部活だ...」

大会が近いとかで、この頃の楓ちゃんは何やら忙しそうだった。

さっきも、「昼練行ってくる!」って言って教室出ていったな。

「あ、そっか。ありがと」

私がそう伝えると、用が済んだのか、帰ろうとした佑斗くんに、

「あ、あのさ!」

「ん?」

思わず呼び止めてしまった。

まだ、昼休みが終わるまで時間はあるよね。

そんなことを思いながら、口を開く。

「...私、佑斗くんと友達になりたい」

_え?

自分でも自分の言ったことにびっくりした。

ちょっと思ったことを口に出しすぎたみたい...。

どうしよう、このままじゃ変なやつだと思われちゃう...。

そう思って、慌てて「佑斗くんさ、面白いし!」と付け足すけど、すぐにしまった、と思った。

ろくに話したことないのに、言い訳が見苦しすぎる...。

ますますどうしよう、なんて焦っていた時、

「...ぶはっ」

佑斗くんは吹き出して、

「もう友達じゃん!」

にっと笑って言った。

予想外の言葉に驚きはしたけど、それがいつかの楓ちゃんの笑顔と重なって見えて。

「ありがとう」

そう言って、笑い返した。