「えー、色々なコメントを頂きましたが、藤崎さんについてのコメントも多かったですね。女性パイロットが増えてきたとは言え、まだまだ皆様のお目にかかることは少ないようです。まずは藤崎さんに、皆様から寄せられた質問に答えてもらおうと思います。藤崎さん、準備はよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします」

一体どんな質問なのだろうと、恵真は背筋を伸ばして身構える。

「ではまず初めに…」

川原がカメラの横で大きく文字を書いた紙を見せる。

「女性パイロットは珍しがられますか?というご質問です。これは多数頂きました。どうですか?藤崎さん」
「あ、はい。ご質問ありがとうございます。確かに社内でも女性パイロットは少ないですね。日本ウイング航空には、現在25名の女性パイロットがいますが、私も滅多に会えません」
「はは!そうですね。私もなかなか見かけません。藤崎さんとも、先日の写真を撮った時が初めましてだったしね。皆様も空港にいらした際は、ぜひ女性パイロットを探してみてくださいね」

すると川原が、別の紙を掲げた。

「えーっと、では次に参りましょう。『女性パイロットはネクタイではなく、スカーフなんですね?』というコメント。こちらもたくさん頂きました」
「はい、ありがとうございます。あの写真ではスカーフを着用していましたが、実はネクタイも支給されています」
「今日は藤崎さんもネクタイですね」
「はい。女性パイロットはネクタイ1種類、スカーフは4種類支給されています」

そう言って、恵真はテーブルにスカーフを並べてみせる。

「色や柄、あとは大きさも違ったりします。会社のカラーである、スカイブルーを基調にしていますが、ピンクと2色使いのものもあります」
「へえー、どれもきれいだね。ちなみに藤崎さんはどれがお気に入りですか?1番よく使うのは?」
「え?あ、そうですね…。実は私はいつもネクタイでして。スカーフは、あの写真の時に初めて着けました」

ええー?!と倉科が驚く。

「そうなの?もったいない。もっと着けたらいいのに」
「はい。せっかく支給されているのにすみません」
「いやいや、単にスカーフも似合うのではないかと思って。皆様いかがでしょう?藤崎さんに似合いそうなスカーフがどれか、よろしければコメントお待ちしております」

ひえっと首をすくめる恵真の横で、倉科は川原の手にした質問に目をやる。