「あっつ…」
俺が四季の中で一番好きな春も、あっという間に過ぎて行き、一番嫌いな夏がやって来た

今日はここ最近で一番暑い。それは下校の時間になっても変わらず、汗が頬を伝っていく
暑さに耐えられなくなった俺は、学校のすぐ近くにあるコンビニに立ち寄った

店内に入ると、エアコンがよく効いているのか、さっきまでの暑さが嘘だったかのような涼しさだった
俺は迷わず店の奥の方に行くと、冷凍庫を開け、お気に入りのカップアイスを手に取った
棒のアイスは、すぐに溶けて垂れてきてしまうから、苦手だ
ついでにアイスコーヒーも買っておこう

溶けてしまわないうちにレジに持っていく
レジに立っていたのは、ポニーテールの可愛い子だった
店員さんは、アルバイトなのか、なれない手付きでレジを打っている
同じくらいの年齢だと思うのに、大人びて見えた

お金を払い、レシートを貰っている間も、彼女を見ていると、彼女がふと顔を上げ、言った
「…これ、私も好き」
彼女の顔は少し、赤くなっていた
『好き』
その言葉が俺に向けられていないというのは分かったが、思わずにやけてしまう

俺は彼女を好きになってしまったようだ

思わず「どこの高校?」と聞いてしまう。高校生じゃないかもしれないのに
しかし彼女は、躊躇いもせずに口を開いた
「君と、一緒だよっ」
そう言われて気がついた
いつもは髪を下ろしていて分からなかったが、確かに同じクラスの子だ

俺はあまり目立たない方なのに、覚えていてくれたんた。
そう思いながら、アイスとコーヒーを受け取ると、コンビニを後にした
出る瞬間彼女が
「また、明日ね」
と言っていたのは気の所為ではないだろう

俺は何故か、彼女と両思いになる日はそう遠くないだろうと思った