「まこー、これ、買ってきてくれない?」
 お母さんに渡されたメモには、昼食を作るために必要な具材が書いてある。
「うん、分かった」
 まだ6歳だけどお使いが完璧にできるし、漢字も読めるし書ける。昔からお母さんからいろいろな教育を受けてきて、最近減ってきた小学校に入るころには安心だろう。
しかし最近のこの社会では、犯罪が増えている。そんな中こんな小さい子供を一人でいかせる母親はある意味すごいと思う。
 (う…暑い…)
私は、お母さんに買ってもらった可愛い猫のエコバッグを持っておつかいに行った。
 なんか寒気がする。嫌な予感がする。。。何もないと良いけど。
無事に私はおつかいを終えて家に帰ってきた。
「ただいまー」
「⁉︎」
「え、、」
「お母さん⁉︎どうして…大丈夫⁉︎救急車呼ぶから…っ」
私の目の前には、苦しそうに倒れているお母さんがいた。
「まこ…、ごめんね。大丈夫だから」
お母さんは悲しそうな顔をしている。
「大丈夫じゃないじゃんっ」
私が焦って大きな声を出すと急に抱きしめられた。
「え、」
「離してっ、お母さんを助けないとっ」
私はお母さんを助けるために電話をとりに行こうとしても、お母さんは私を抱きしめてはなさない。
「ごめんね…、短い間しか一緒に入れられなくてごめんね」
お母さんは泣いている。
初めて見た。お母さんが泣いているところ。
急な出来事すぎて頭も心も追いつかない。
「どうして…」
「まこはね、強い子だから大丈夫」
ほんとうに頭が追いつかない。
「なんで…お母さんっ」
「親孝行とか、できなくてごめんなさい…」
涙が溢れる。
「何?生まれて来てくれたことが、一番の親孝行だからね。まこはね、大丈夫だから、これからきっといっぱいの仲間に出会って、幸せに暮らせるから」
お母さんは、辛いのだろうけど、無理して笑っている。
「お母さん…!」
なんで…、なんで急に…。

〜過去〜
「あーっ、この漢字分からないーっ」
私は、机に向かってぱたりと倒れる。
「何ー?どうした。あ、この漢字?これはねー」
お母さんは昔から勉強熱心で、物心ついた頃には鉛筆を握っていた。かといって、厳しいわけでもないし、私にとって苦でもなかったから普通に勉強していた。

〜現在〜
原因は、分からない。
どうしてこうなったのか。
「まこ、生まれて来てくれてありがとう」
最後にお母さんはそう残してゆっくりと目を閉じた。
「おか、さん…どうして、、、お母さんっっ‼︎」
私はその日1日中ずっと泣いていた。



私はやっと泣き止んだ。
「お腹、すいた…」
意識はあるけど、動くことすら辛い。
「んん…」
冷蔵庫を開けると、たくさん食べ物があった。賞味期限を確認すると大体のものが先だった。
『困ったら、お隣の宮美さんに頼ってね』
良くみるとメモにそう書いてあった。
「え…」
他にも、たくさんのメモがあった。
『ここは、私が一番信頼していてまこが安心して暮らせる場所だから少ししたら行ってみてね』
と書いてあるメモと地図が置いてあった。
『まこへ
突然いなくなっちゃって本当にごめんね。
これからたくさん大変なこととかあると思うけど、まこなら絶対大丈夫だからね。
生まれて来てくれてありがとう。 』
この手紙と何かの花が描いてあるペンダントが置いてあった。