歩いて三十分ほどたった。
目の前には、大きな門と三階建ての学校が建っている。
「うわぁ、おっきいな」
「結構おっきいよね、柳高校って」
私が立ち止まり、目を見開いている横をどんどんと生徒達が通り過ぎていく。
みんなは、これが普通なのか。
改めて、自分が周りと違うことを実感した。
それと同時に、嫌悪感が生まれた。
「じゃ、まず校長先生のとこに行こっか」
「え、そこまでしてくれるの?」
「もちろん」
椿は何を考えているのか全くわからない。
なんで、こんなに変な私に優しくしてくれるのだろうか。
「こんにちは、校長先生」
疑問は深まるばかりだった。
その後は、校長先生に挨拶をしてクラスを教えて貰った。
まだクラスには入らず、保健室でチャイムのなるまで待っとくように伝えられ、椿は付き添い人となった。
「ごめんね、わざわざこんなことさせちゃって。面倒くさいでしょ」
「いや?みんなより一足先に、仲良くなれるし、話せて楽しいし。全然気にしないで!」
「しかも、友達だし」
え?私と椿はもう友達らしい。友達の判定がよくわからない。
私は、わからない事だらけのこの場所で生活していかなければならないとなると、少し疲れそう気がした。
その反面、とても楽しそうな現実が待ってるんだとわくわくしていた。
キーンコーンカーンコーン。
少し音の大きいチャイムに私は、ビックリして体が跳ねた。
「じゃあ、クラスに行こっか」
チャイムの音に慣れた様子で椿は、私をクラスまで案内してくれた。
椿と私はどうやら同じクラスらしい。階段を三階まで登っていく。
たどり着くころには、辺りはシーンと静まり返っていた。