ホテル棟から庭園に出ると、ここが都内なのかと驚くほどに大きな木が生い茂り、坂もある。
私達の歩く少し先を子供がはしゃいで走り、それを両親が声をかけながら追いかけていた。
それを光生さんが無表情で見ているのに気付き、思わず声をかけた。
「お仕事一段落して少しは休憩できるんですか?」
す、と暗く陰ったような目がこちらに向いてびくりとする。
それに反応するように光生さんの表情が強ばって、すぐに顔を背けられた。
「ガキじゃ無いんだ、月曜から普通に仕事だ」
「そうじゃなくて忙しさが少しは落ち着くとか、今みたいに女子高生にアフタヌーンティーへ付き添って貰う時間があるかって事です」
「まるでお前が付き合ってやったような言い方だな」
「実際そうですし、普通三十路の男性が女子高生と食事したいなら別途料金取られてますよ」
「まさか、変なバイトしてないだろうな」
「学業と真横にいる大きなお坊ちゃまの相手で一杯一杯です」



