「勘違いするな、頭を使うんでな、糖分が取りたかったんだ」
「はいはい、それで良いです。帰りますよ、おじーちゃん」
「あぁ?!」
とても御曹司と思えぬ声が出たが、スタッフが間合いを見て近寄ってきて会計を済ませた。
「とりあえず出るぞ」
店を出て、ロビーの方に向かうのかと思えば、やはり庭のある出入り口に歩き出しているので服を引っ張る。
「どこに行くんです。玄関は逆です」
「散歩に付き合え。・・・・・・少しだけだ」
命令しているようでお願いされる。そしてその顔は笑っているようで少し寂しい雰囲気を感じ取ってしまった。
駄目だ、今日で終わらせると決めたのに、だからこそ付き合ってあげてもいいか、と思ってしまう。
こういうのが自分の駄目な部分とわかっているのに。
無理に行こうとせず立ち止まったまま私の返答を待つ、三十路お坊ちゃまにわざとらしくため息をついた。
「少しだけですよ」



