12上の御曹司と女子高生は愛を育めない

ふかふかのグリーンのカーペットが敷き詰められ、一面に広がる窓からは緑豊かな森のような庭が広がる。
都心にこんな場所が合ったのかと驚きながら光生さんの後ろをついていけば、窓側の席を案内され、スタッフが椅子を引いてくれる。

女性に人気なのは本当なのだろう、客層は大人の女性達が多く、みな光生さんを見つめている。
その前に座っている私はどういう認識になっているのだろう。
親戚の子を連れて来てあげた優しいおにーさんくらいに思われていそうだ。

頼んでいた紅茶が注がれ、甘い香りが広がる。
目の前には一口サイズのカラフルなお菓子にキッシュなどが入ったアフタヌーンティースタンド、まずはスコーンから食べ始めることにした。
だけど気になるのは目の前の相手。
私がスコーンを手に取っても、未だゆっくり紅茶を飲んでいる。


「美味いか?」


スコーンを口にするとすぐに聞かれたので、苦笑いが浮かんでしまいながら頷く。
すると光生さんもスコーンを食べ出した。何だかホッとしたような顔をして。


「やっぱりあまり食べていなかったんですね」


温かい飲み物や食べ物を口にしてホッとしたのだろう。
光生さんの表情を見てやはり無理をしてたんだとちょっと苛立った気持ちになりながら言えば、彼は不思議そうな顔をした。


「何でだ」

「だってもの凄くホッとしたような顔をしたので。
やっと温かい物口にして安心したんだと思いますよ」


スコーンを持ったまま光生さんが動きを止め、難しい顔をした。
自覚が無かったのだろう、こういう人は無理矢理誰かが食事を管理してあげたら良いのに。


「いや、違う」


スコーンを皿に置き、真面目な顔で光生さんが私を見ている、
なんだ、と身構えていると、


「紫央里が美味そうに食べたのを見たら何故か肩の力が抜けた」


・・・・・・は?

目の前のお坊ちゃまは紅茶を優雅に飲んで、スコーンに手をつけていて、私はその言葉の意味を理解するのに頭をフル回転させている。