12上の御曹司と女子高生は愛を育めない



「もしかして、私が気に入りそうな場所を探してくれたんですか?」


光生さんは顔をしかめた後、何故か新聞を広げて顔を隠した。
来る途中春日部さんが言っていたのを思い出した。
今日を楽しみにしていたとか、私がどういう所を喜ぶのかわからず悩んでいたと。
光生さんが痩せていたのを見て、その言葉をすっかり忘れていた。
忙しいのに、私の喜ぶ場所を探してここにしたという事であっているのだろうか。

もしそれが本当で、図星だったため照れているのだとしたら。

無性に光生さんの頭を撫でたい衝動に駆られた。
あの綺麗に整えられている髪を、思い切り撫でまくりたい。
こう、大型犬にするような。

そう思う自分に驚き、きっと光生さんが大型犬に見えてそう思ってしまっただけなのだろうと自分に言い聞かせていると、未だ新聞に隠れた所からわざとらしい咳払いがした。


「予約の時間を過ぎてる。店に迷惑がかかるぞ」


新聞を再度畳みながら、光生さんはそう言って立ち上がった。
そして私に手を伸ばす。
どうするべきか。私に気を遣うよりやはり早めに帰宅させた方が良いのでは。
だけどそんな私の苦悩など気付いていないのか、


「お前は食べ物を粗末にするヤツだったのか」


そう言い切られてしまえばノーとは言えない。
私は諦めた顔でその手を取ると、ぎゅっと掴まれた。
大きな手は冷たくて、早く温かい物でも飲ませた方が良いのではと気になってしまう。


「アフタヌーンティー終えたら速攻自宅に帰って寝ると約束して下さい。
そうじゃなきゃ行かないですよ」


私が背の高い光生さんを睨みつつ言うと、何故かぷっ、と吹き出された。


「お前と食べれば楽になる」


無邪気そうな笑顔で言われ、一瞬固まった。
だけれど大きな手は動くのを躊躇した私を気にせず歩き出している。
12歳も上の人が大きな子供に、そして寂しそうにも思えて、私はその手を振り払うなんて事は出来なかった。